シーゲル先生が推奨しているのは「D-I-V」

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ゴールデンウィークを利用して、以前購入していたジェレミー・シーゲル氏の名著『株式投資の未来』をやっと読み終わりました。



この本は、インデックス投資を推奨している前著『株式投資』から方向性が変わり、高配当銘柄(いわゆるシーゲル銘柄)の配当再投資戦略の方がインデックス投資よりも有利であることを示すものとして紹介されることが多いように感じます。

また、これを根拠にして、主に(場合によっては100パーセント)米国の高配当株に投資している方もいらっしゃるようです。

したがって、私も、この本には最初から最後まで高配当銘柄の配当再投資戦略の優位性が書かれているものだと思っていたのですが、実際に読んでみると少し印象が変わりました。

たしかに、第3部「株主価値の源泉」(特に第10章「配当再投資」)では、配当再投資戦略を詳細に検討し、S&P500などとパフォーマンスを比較していますし、他の章でもキャピタルゲインに対していかに配当が過小評価されてきたかを述べています。

一方、この本全体では、人気がある投資先が最大のリターンを生むとは限らない「成長の罠」や高齢化した世界において予想される未来、それらをふまえた総合的なポートフォリオ戦略などにも触れています。

特に、この本の集大成とも言える第17章「未来に向けた戦略、D-I-V指針」では、意外にも(?)以下のように述べています。

誤解のないように断っておくが、インデックス運用を株式投資のコアにするべきとの考えに変わりはない。その場合、前章で述べたとおり、世界の市場に連動させることが大切だ。だが今回、S&P500の採用銘柄を追跡し、業界別パフォーマンスを比べ、IPO、配当など長期的に調査した結果、こう考えるようになった。インデックス・ポートフォリオに、本書で紹介した補完戦略を組み合わせれば、さらに高いリターンを狙うことができる。(『株式投資の未来』278ページ、赤字は筆者)

つまり、シーゲル氏自身は、インデックス投資を否定しているわけではなく、それを補完する戦略として高配当銘柄の配当再投資戦略を位置づけているようです。

「そんなこと当たり前だろ!」と読者の方からはお叱りを受けそうですが、恥ずかしながら、私はこの本を読んで初めてこのことに気づきました。

また、このようなコア・サテライト戦略において、シーゲル氏は以下の3つの指針「D-I-V」を戦略の柱とすることを推奨しています。

・配当(Dividend)
・国際(International)
・バリュエーション(Valuation)

「配当」はもちろん高配当戦略のことですが、2番目の「国際」の説明では、「先進国世界と途上国世界の間で富の配分が劇的にシフトする」ことを根拠に「ドルベースの投資家なら、米国に本拠を置く企業に60%、米国外(筆者注:日本を含む)に本拠を置く企業に40%程度の配分が適当だろう」と結論づけています。

つまり、シーゲル氏自身は米国集中投資というより国際分散投資を推奨しているように思えます。

また、「バリュエーション」の項では、「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」セクターが優れたパフォーマンスを示してきたのは割安のままで放置されていたからだ、という前章までの内容をふまえ、あくまでも割安な銘柄への投資を推奨しています。

つまり、仮に生活様式や人気銘柄の変化、技術進歩などによりもっと割安なセクターが出現した場合、ヘルスケアや生活必需品ではなく、そちらに投資するのが「シーゲル流」ということになりそうです。これも私にとっては目から鱗でした。

こう考えてみると、「エネルギー・生活必需品セクターなどの」「高配当の米国個別株式のみに」「株価・タイミングに関係なく投資し」「配当は再投資する」戦略(仮に「米国高配当戦略」と呼ぶことにします)とシーゲル氏自身が推奨している投資戦略にはかなりギャップがあるように感じます。

もちろん、単に私が誤解していたり、「米国高配当戦略」の方がシーゲル氏が推奨する投資戦略より優れていたりする(あるいはより進化したものである)可能性も十分にあると思いますが、あくまでもこの2つは別物だと考えた方がいいのかもしれません。

このような気づきがあったのも、根気強くこの本を読み続けたからです。

決して安くはなく、また、それなりにページ数がある本ですが、改めて原典に当たることの大切さを実感しました。

この調子で、大量に積読している他の本もコツコツ読み進めようと思います。
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すいさく

Author:すいさく
40代、2015年8月頃から投資らしい投資を始めた初心者の日々をつづっています。

インデックスファンド・国内外のETFを中心にバイアンドホールドを基本に投資していますが、日本・海外の個別株式も一部保有しています。

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