投資とギャンブルの本質的な違いは?

MAX87_shinkennamanazasi20140531_TP_V.jpg

「株式投資はギャンブルだから、GPIFは株式を保有するべきではない」「株式投資はギャンブルだから、そんなものに頼らず汗水垂らして働いた方がよい」などという発言が良く聞かれるためか、インデックス投資家には投資とギャンブルを結びつける発想を嫌う方が多いように感じます。

その気持ちも良く分かります。私も初心者ながら居酒屋のご主人と世間話で「(自分たちのような)庶民も投資した方がいいと思う」と言って険悪な雰囲気になったこともありますので(この方はとても真面目な方か、以前株式投資でひどい目に遭った方なのかもしれません)。

一方で、ギャンブルと投資を完全に切り離してしまうことにも個人的には違和感を持っています。この2つは違うものだ、と考えることでかえって本質が見えなくなってしまうのではないかと思うからです。

この件に関しては、アウター・ガイさんのブログ記事でも

投資はギャンブルか。「ギャンブル」の定義次第で何とでも言える。不確実なものに資金を投じることがギャンブルならば、投資もまたギャンブルである。ただし、期待値がプラスとなる点で、投資は他のギャンブルと異なる。

と述べられていますが、自分なりに考えを整理するために記事にまとめてみます。

「ギャンブル=悪」?

まず、ピーター・バーンスタイン著『リスク』(絶版になってしまったようなので、下に英語版のリンクを貼っておきます)によると、確率論はギャンブルの必勝法の研究から生まれ、最初は非常に胡散臭い目で見られながらも、現代の生活に欠かすことができないものになったとのことです。

また、リスクを正確に理解し、適度のリスクを取りながら楽しみあるいは少額の利益を求めるためにギャンブルをすることがダメなのか、と言うとそうとも言えないと思います。

もし、これがダメならば(私はやりませんが)パチンコ、競馬、競輪、TOTOなどのギャンブルを公的に運営すること自体が大きな矛盾になるからです。

一方で、ギャンブル依存症になったり、過度なリスクを取って破産してしまったりする人が現れるのであれば、これは大きな問題でしょう。

したがって、悪いのはギャンブルそのものではなく、ギャンブルに取り組む姿勢だと思われます。もしこれが問題なのであれば、ギャンブル自体を廃止するのではなく、「ギャンブル教育」を含めた社会におけるギャンブルの位置づけを考えなければいけないように感じます。

投資とギャンブルの違い

それでは、投資はギャンブルと本質的に違うのでしょうか?

投資もギャンブルも将来の利益は不確実である、ということ自体は全く変わりません。したがって上記の引用箇所で述べているように「ギャンブル=将来の利益が不確実であるもの」と定義するなら、投資はギャンブルでしょう。

一方で、多くの(特にインデックス)投資家は「ギャンブル=ゼロサムあるいはマイナスサム」「投資=プラスサム」だと定義しているように感じます。

この意味では、FXのようなゼロサム(あるいはマイナスサム)ゲームはギャンブル(投機)ではあっても投資とは呼べなくなります(このあたりから意見が分かれそうです)。

本質的な違いは?

それでは、プラスサムであること以外に、株式(やそれに類する)投資がギャンブルと区別すべき点はないのでしょうか?

もし、単に「プラスサム」であることが重要なのであれば、仮に胴元が計算を間違ってプラスサムになっているギャンブルがあれば、それはギャンブルではなく投資だ、ということになります。これは変な結論です。

したがって、プラスサムであることは重要な要素ではありますが、それは本質ではなく、「投資は事業を発展させることで世の中に役立つ」ことがより重要なのではないかという気がします。

つまり、企業が利益を上げるために良いモノやサービスを提供し、それによって世の中が良くなること、それ以外に投資をギャンブルと本質的に区別することは難しいのではないでしょうか。

よく、インデックス投資に必要な要素として「資本主義の発展」が挙げられますが、これも、世の中により良いモノやサービスが提供されることによって社会が発展する、という同様の発想だと理解しています。

この定義に問題はないのか?

個人的には、この「株式投資=企業の発展を通じて世の中に貢献し、その利益の一部を受け取ること」という定義が一番しっくりきますし、「投資はギャンブルだから手を出すべきではない」という批判に対する最も有力な反論だと思いますが、いくつか微妙な問題は残ります。

まず、株式投資の利益は企業の業績に連動するはずですが、世の中に役立たないモノ・サービスをどんどん生産することで「不当な」利益を上げている場合は株式投資の利益も「不当な」ものになるのではないか、という批判が考えられます。

しかし、長期的には、世の中に役立たないモノ・サービスを生産する企業の業績は落ち、それによって株価が下がるはずですし、明らかに世の中の害になる企業は規制の対象にもなるでしょうから、そのメカニズムが十分に機能するのであれば問題はないでしょう。

また、株価が企業の業績をきちんと反映していない場合は、業績とは無関係に株が暴落したり急騰したりする可能性もあります。

たとえば、日本の株式市場のように、公的部門の保有する株式の割合が非常に高い場合は、企業の業績が悪くても、国が買い支えることによって株価が下がらなかったり、逆に、国の買い支えが期待できないために株価が下がったりする可能性があるでしょう。

個人的には、こういう状況であればあるほど「投資=ギャンブル=悪」「最後は国が支えてくれるから安心」という百害あって一利なしな発想になりやすいため、公的部門の株式市場への関与はほどほどにしてほしいと思っています。

最後に、そもそも「企業(企業の集合体である経済ないしは株式市場)は発展する」という考え自体を認めない方もいらっしゃるかもしれません。

こういう方にとっては、株式投資がいくらプラスサムだと言っても全く聞く耳を持たないでしょうし、投資はまさにゼロサムあるいはマイナスサムという意味での「ギャンブル」だと信じて疑わないことでしょう。

こういう信念を覆すためには、やはり、我々にとって最も身近な日本の株式市場が健全なものであることが最も重要だと思います。

上記にも述べた公的部門の株式市場への関与や、以前のオリンパスや最近の東芝などのガバナンスなど、個人的には日本の株式市場にはいろいろな問題があるように感じますが、多くの人が投資にポジティブなイメージを持つためには、投資家教育だけではなく、こういう問題を一つ一つ解決していくことが必要になるような気がします。

Related Entries

Comments

Private comment

プロフィール

すいさく

Author:すいさく
40代、2015年8月頃から投資らしい投資を始めた初心者の日々をつづっています。

インデックスファンド・国内外のETFを中心にバイアンドホールドを基本に投資していますが、日本・海外の個別株式も一部保有しています。

2017年2月現在の方針はこちら

twitterアカウントもつくりました↓
@suisaku_cacti

カウンター

検索フォーム

相互リンク

メールフォーム

Name:
Mail address:
Subject:
Body: