【書評】『株で富を築くバフェットの法則』

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原題は『The Warren Buffett Way, 3rd Edition』です。

原題の方がかっこいいと思うのは私だけでしょうか。

帯には「リーマン・ショック時に投資して1兆円の利益!」と書いているので、これだけ見ると「FXで○○億円の利益を出す!」の類とあまり区別がつきません。

というわけで、ずっと敬遠していたバフェット本ですが、これは結構真面目な本のようなので購入してみました。
読んでみた感想としては、前回紹介した『投資で一番大切な20の教え』に似ているところが多いように感じました。

共通点としては、やはり「価格」を「リスク」に含めているところが挙げられます。

私も常々、同じ株(インデックスファンド・ETF)を購入するなら、(個別株で経営リスクが高まっているときを除けば)低い価格で購入するのに越したことはないと思っていました。

インデックス投資は、株価がランダムウォークをする(つまり、現在の価格がどんな水準でも、そこからの株価の変動は同じ)ことを前提にしており、どんな価格からスタートしても長期的なリターンは変わらない、と主張していると理解していますが、100年くらいの超長期ならそうかもしれないとしても、たかだか数十年の期間なら購入価格はキャピタルゲインに決定的な影響を与えるような気がします。

このような考え方はかなり異質なのかと思っていましたが、「安全なマージン」という考え方で一般化されており、バフェットやその師と言われるグレアムのような有名な投資家が主張しているのを知ることができたのは収穫でした。

また、広く薄く投資を行うインデックス投資のような分散投資とは対照的に、バフェットは「フォーカス投資」を実践しています。

これは、経営状況を深く理解した厳選された少数の企業に集中的に投資を行うという手法です。

つまり、株価がランダムウォークで決まるという考えとは完全に異なり、株の購入を企業(事業)の購入と同一視して行う投資を重視しています(だから、バフェットは企業の株価が事業の価値に比べて割安だと考えれば、大量の資金を投入することを厭いません)。

このために置かれているのが、第3章で紹介している「12の原則」です。

これはさらに「事業に関する原則」「経営に関する原則」「財務に関する原則」「市場に関する原則」に分かれています。

たとえば「1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか」という原則が挙げられていますが、これは「留保利益は、企業の価値を(少なくとも長期では)上げるために使われるべきである」というバフェットの考えを表しています。

この「12の原則」には、「1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか」など、かなり参考になる考え方がありますし、経営者に直接インタビューする、などの手法を除けば、主に公開情報から判断できる指標を使っているようですが、ここまで深く考えてバリュー投資を行うのは私も含めた普通の人間には難しいかもしれません。

バフェット自身は「私たちは、ほかの人ができないようなことをやっているわけではない。私は投資と企業経営は同じだと感じている。

結果が並はずれていても、そのために並はずれたことをしなくてもいい」と言っていますが、「並はずれていない」ことをきちんとできるのがバフェットの投資家としての優れた点なのだろうと思います。

第4章では、「12の原則」を具体的にどのように活用したか、というケーススタディをしています。コカコーラ、IBM、GEICOなど、投資の理由が一見全く異なるように見えても「自己資本に対するリターンが満足できるものという見通しがあり、経営者が有能で正直で、市場に過大に評価されていない企業」なら投資するという考えは一貫しているという指摘が面白いです(素人の勝手な印象ですが、「特定のスタイルにはこだわらない」と書かれつつも、ひふみ投信の投資方針は比較的これに似ているのではないか、と感じました)。

ほかにも行動ファイナンスなどの知見が紹介されていますが、これは類書にも(インデックス投資の本でも!)良く取り上げられており、あまり特筆すべきことはないかもしれません。

全体を通して読むと、バフェットと全く同じように企業を研究することは、投資を職業としているのでなければかなり難しいと感じましたが、これまで漠然と考えていたように、インデックス投資をコアにして市場並みのリターンを目指し、個別株投資や国別ETFなどをサテライトとして、その企業や国の先行きを考えながら(できるだけ低い購入価格で)投資する、という方法には一定の裏付けがあることがわかりました(正確には、バフェット自身はあくまでも企業単位で先行きを予想しており、マクロ経済の予想にはかなり否定的なようです)。

バフェット自身がいろいろな投資家の考えを元に自らの投資方針を形作って行ったように、私も、インデックス投資をコアにしつつ、それ以外の考え方もすぐに否定せずに、自分のスタイルを作っていきたいと思います。


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すいさく

Author:すいさく
40代、2015年8月頃から投資らしい投資を始めた初心者の日々をつづっています。

インデックスファンド・国内外のETFを中心にバイアンドホールドを基本に投資していますが、日本・海外の個別株式も一部保有しています。

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