日本で長期投資がなかなか普及しないのはゼロリスク志向だから?

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はじめに


先日、わかま屋さんが以下のようなツイートをされていました。
これは、言い換えると「長い間我慢しても儲かるかどうかはっきりしないものには手を出さない」ということなのではないかと思います。

そう考えたら、これまでぼんやり感じていたことが自分の中で少し明確になったような気がするので、今回はそれについて書いてみます。

ゼロリスクとは


「ゼロリスク」をグーグル先生で調べてみましたが、定義らしいものは見つかりませんでした。

比較的新しい単語なので、まだ決まった定義はないのかもしれません。

一般的に使われている用法は

「ゼロリスク=リスク(損害が生じる確率)が0であること」
「ゼロリスク志向=ゼロリスクを求めること」

というようなものだと思いますので、以下ではそれを前提にすることにします。

ゼロリスク志向から見た投資


「ゼロリスク」という言葉は、以前から食の安全などに対して使われていたようですが、良く使われるようになったのはやはり東日本大震災以降だと思います。

したがって、日本人が(他の国の人と比べて)厳密にゼロリスク志向であるのかどうかはまだ十分に実証されてなさそうです。

一方、行動経済学における研究では、日本人は他の国の人より損失回避度が大きいと言われているようです。

損失回避度は、ある金額(たとえば100万円)の利益から得られる嬉しさに比べて、同じ金額の損失から得られる苦痛がどれくらい大きいかを表しますので、それが大きいということは

「損失を出すことにものすごく苦痛を感じる」

という意味になります。

この前提に従うと、結果がはっきりしない、元本も保証されない投資は、それがたとえ利益を生む可能性が高いとしても敬遠されるでしょうし、そんな投資には価値を感じないという人が多くても不思議ではありません。

さらに、長期投資は結果が出るまでに(文字通り)長い時間がかかりますので、このようなストレスに長い間晒されることを想像するだけで嫌になる可能性もあるでしょう。

私の印象では、これが「ゼロリスク志向」につながり、さらには「日本で投資が広まらない」原因になっているような気がします。

ゼロリスク志向は極端に走る原因にもなる?


一方、このようなゼロリスク志向は極端から極端に触れる原因にもなり得ます。

なぜなら、「絶対に損を出したくない」という気持ちは、あるものが「確実に儲かる」と思った瞬間に(スイッチが切り替わるように)一気に変わってしまう可能性があるからです。

よく、「『確実に儲かる投資があったら教えてほしい』と聞かれたが、そんなものを知っていたら先に自分がやってるわ」という話を冗談交じりに耳にすることがありますが、過熱している仮想通貨ブームにおいても、

「周りの人がみんな儲かっている=確実に儲かる」
「今までにない新しい投資法だ=従来のものより儲かるに違いない」

と思いたい、実際には目に見えないリスクがあっても、「ゼロリスク志向」と整合性を取るために、それはあえて見なかったことにしたいという心理が働いている印象もあります。

また、このような投資(あるいは投機)は、長期投資のように儲かるのかどうか分からないということはなく、短い間に(たとえ利益が出ても損をしても)結果がはっきりします。

これなら、自分の資産が将来上がるか下がるか心配しながら長い間不安におびえることがなく、短い間で白黒つくので「ゼロリスク志向」の人にとっては魅力的かもしれません。

しかし、当然ながら、このような投資を志向すればするほど運の要素が大きくなるはずです。

熟練した、あるいはセンスの良いトレーダーであればそこで利益を得ることも可能でしょうが、少なくとも私にはそのようなセンスはありません(また、今からそれを身につけようとも思いません)。

私と同様の人なら、利益を出せるかどうかはまさにゼロサムゲームという意味での「ギャンブル」、さらに、税金等を考えると割に合わない「浪費」である可能性すらあります。

そう考えると、「ゼロリスク志向」の人の方が実際にはより大きいリスクを取り、リスクをコントロールしながら投資をしている人の方がずっとリスクを抑えているという皮肉な逆転現象が生じてしまうかもしれません。

(そういう意味では、リスクをコントロールしながら仮想通貨投資を行っている方を批判する意図は全くありません)

で、どうしたらいいのか?


基本的には、自己責任である限り、あるいは他の人に迷惑をかけたりしない限り、投資方法は全くの自由だろうと思います。

一方で、自分と同じような考え方で投資をする人が増えることで、税制が自分に有利になったり、情報交換ができたりするというメリットもあるかもしれない(笑)ので、長期投資をする人がもっと増えて欲しい、という気持ちもないわけではありません。

そこで、以下に私が考える解決策を3つほど書いてみます。

投資教育は侮れない


「投資教育」として誰が誰に何を教えるべきか、という問題は残るものの、やはり投資教育なしではあまり事態は改善しないのではないかと思います。

金融庁主体のつみっプを始めとする各地の勉強会はそのいい機会になるはずですが、それ以前に、ごく普通のお金のやりくりの話や、株式会社の簡単な仕組みぐらいは知っていていいでしょう。

よく「株式会社」で働いている人が「株式投資は危ない」と言って近づかないという話をよく聞きますが、それなら「そんなに市場の評価が二転三転するような危ないところで働いていて怖くないのか?」と逆に突っ込みたくなります(笑)。

別に誰もが株式投資をやるべきだとも思いませんが、現代を生きる限り、社会には株価のようなあやふやなものがつきものであり、好きかどうかにかかわらず、我々はそれとうまくつき合いながら毎日を送っている(送っていかなければいけない)ということぐらいは意識していてもいいような気がします。

結果より過程を重視する


個人的には、投資教育よりずっと大事だと思っていることは「結果論を止める」、言い換えると「結果より過程を重視する」ということです。

誰かがリスクを取って「常識」外れのことを始めたとき、ついつい「そんな常識外れのことをして成功するわけではない」と言い、失敗したら「だから失敗すると思っていたんだ」と言いたくなってしまいますが、自分が迷惑を被っているのではない限り、放っておけばよいでしょう。

同様に、自分が「常識」外れの立場だったとしても、自分なりに勝算があるなら外野の声は全く気にすることはないと思います。

自分なりに考えて方針を定めて投資に取り組んでいるなら(=過程)、他人よりパフォーマンスが良いか悪いか(=結果)を気にしても仕方がないでしょう。

リスクがある限り、どんなに頑張っても結果がついてこないことはありますが、過程が正しかったのなら、結果は気にする必要がありません。

たとえば、アセットアロケーションを考えるなどして適切にリスクを管理していても、暴落に巻き込まれて一時的に資産額が大きく減る可能性は残ります。

しかし、そこまでの過程が正しいのであれば、それを続けるだけでしょうし、正しくなかったのであれば、改めて修正するしかありません。

また、過程を大切にすることで、(100%にはならないにしても)最終的に自分が望む結果になる確率は高まります。

したがって、結果を嘆くことよりも、過程を大切にすることの方がずっと重要だと(少なくとも私は)思います。

確率(の考え方)とうまく付き合う


上に書いたことにも関連しますが、「確率」の考え方に慣れることも投資を行う上で役立つかもしれません。

トランプや麻雀、バックギャモンなど、確率的なゲームには「必ず勝つ」戦略はありません。

しかし、「○○の局面で△△の考え方でプレーすれば勝つ確率が最大になる」という戦略はありますし、勝つか負けるか分からないがベストを尽くし続けることが大切というのは、このようなゲームにも当てはまります。

つまり、「ゼロリスク志向」から離れて、「確実ではない」が「平均的には一定の傾向がある」という確率の考え方に慣れるためには、ゲームやギャンブルは良い教材になりますし、その意味では、ゲームやギャンブルは一概に否定すべきものでもないように思います(もちろん、身を持ち崩すところまで行くのは論外ですが)。

(そもそも、確率論のルーツの一つはギャンブルの必勝法の研究です)

また、ここでは、確率の考え方を切り離して議論するためにあえてギャンブルを取り上げましたが、良く耳にする「投資は少額から始めて、資産価値の変動に慣れよ」というアドバイスもこのような考え方に沿うものでしょう。

まとめ


以上のように、「ゼロリスク志向」というキーワードから、日本で長期投資がなかなか普及しない(と言われている)原因を考えてみました。

一言で言えば、確率が絡むゲームに親しんで、結果より過程を大切にして、株式会社やお金の仕組みを学ぶ機会に誰もがアクセスできるようになれば長期投資が盛んになるってことですね(笑)。

投資はあくまでも自己責任で行うべきものですから、これらの内容を他人に押し付けるつもりはありませんが、少なくとも自分はこんな考えでコツコツ続けていこうと思っています。

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プロフィール

すいさく

Author:すいさく
40代、2015年8月頃から投資らしい投資を始めた初心者の日々をつづっています。

インデックスファンド・国内外のETFを中心にバイアンドホールドを基本に投資していますが、日本・海外の個別株式も一部保有しています。

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