後悔最小化としてのコア・サテライト戦略

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1. はじめに


まともに投資を始めて3年目、まだまだ方針がブレブレの私は、コアのインデックス投資に加え、サテライトとして国内外の個別株投資を行っています。

図らずもこれは「後悔最小化」になっているのではないか、というのが今回のテーマです。

2. 後悔最小化とは?


皆さんも、何か選択をした後で「○○をしておけばよかった」と悔やんだことがあるのではないでしょうか。

個別株投資を行う以上、後になって株価が暴騰して「あの銘柄を買っておけばよかった」、逆に買ってしまってから急落して「あの銘柄を買わなきゃよかった」と思う気持ちと無縁ではいられないのではないかと思います。

…少なくとも私はそうです。

でも、ある日、コア・サテライト戦略を行っていることで、こんな「後悔」を最小化できているんじゃないかと感じました。

3. インデックスファンドを保有していなかった場合


まず、私がインデックスファンドを保有しておらず、特定の銘柄A社の株式に投資する状況を考えます。

TOPIXに投資するインデックスファンドを保有していればそのリターンが得られるわけですから、話を簡単にするために、A社の株式はTOPIXに組み入れられており、TOPIX以上のリターンが得られたかどうかで投資の成否を判断することにしましょう。

ここで、いろいろ考えた結果、A社の株式を結局買わなかったとします。

その後、TOPIXがA社の株式よりパフォーマンスが良かったなら、A社の株式を買わないという判断は正しかったと思い、私は満足するでしょう(下表左上のマス)。

逆に、A社の株式の方がTOPIXよりパフォーマンスが良かったなら、A社の株に投資しなかったことを後悔してしまうかもしれません(下表左下)。

同様に、A社の株式を買ったとき、TOPIXよりパフォーマンスが良かったならば満足するかもしれません(下表右下)が、TOPIXの方がパフォーマンスが良かった場合は後悔する可能性があります(下表右上)。

つまり、A社の株式を買っても買わなくても、当初の自分の目論見が外れたら後悔してしまうのです(下表水色のマス)。これをまとめたのが下の表です。

表1:インデックスファンドを保有していなかった場合

インデックス個別

4. インデックスファンドを保有している場合


そんな私がTOPIXに連動するインデックスファンドを一定数保有しており、さらにA社の株式を買い付けるかどうか迷っているとしましょう。

A社の株式の買付を行わなかった場合、TOPIXの方がパフォーマンスが良かったなら満足することは変わりません(下表左上のコマ)。

一方、A社の株式の方がTOPIXよりパフォーマンスが良かったとしても、A社の株式がTOPIXに組み入れられている限り、それは間接的にTOPIXのパフォーマンスに反映されるため、「どうせTOPIXに含まれてるじゃん」とあまり後悔する必要はありません(下表左下)。

さらに、A社の株式を買い付けた後にTOPIXの方がA社の株式よりパフォーマンスが良かったとしても、既にTOPIXに連動するインデックスファンドを保有しているので当然不満はありません(下表右上)。

最後に、A社の株式を買い付け、A社の株式の方がTOPIXよりパフォーマンスが良かったなら、もちろん問題はありません(下表右下)。

つまり、インデックスファンドを保有することで、「インデックスファンドを保有していなかった」ときに後悔していた場面で後悔する必要がなくなるのです。

これをまとめたのが下の表です。

表2:インデックスファンドを保有している場合

インデックス+個別

5. まとめと注意点


上ではインデックスと個別株式を例に挙げて説明しましたが、同様の効果はインデックスとサテライト投資一般についても得られるでしょう。

つまり、「インデックスファンドを保有することで、サテライト投資がうまく行っても行かなくても後悔するのを避けられる」と言えそうです。

もちろん、以下のような注意点が考えられます。

コア・サテライト戦略を採用するとサテライト投資の利益は小さくなる


まず、インデックス投資をコアにする場合、既にインデックスファンドへの投資にかなりの資金を投入しているはずですから、サテライトへの投資額は抑えられ、たとえサテライト投資がうまくいったとしても、そこから得られる利益はそれほど大きくないかもしれません。

そういう意味では、コア・サテライト戦略は一攫千金を狙う方にとってはあまり意味のないものなのかもしれません。

しかし、もともとボラティリティを抑えるためにインデックス投資をコアにしているわけですし、上に書いたような後悔最小化の効果もあるのですから、これは得られる利益とのバランスで考えるべきだと思います。

サテライト投資をせず、インデックスに投資するだけで十分かもしれない


また、後悔最小化をするだけなら、そもそもサテライト投資をせずにインデックスファンドを買って市場平均で我慢すればいいのではないかという議論も成り立つでしょう。

これについては、市場平均以上のリターンを得られるのではないか、サテライト投資も行うといろいろな数字が毎日ちょこちょこ変わって楽しい、と思ってしまう、経験の浅い私だからこそ感じてしまうことかもしれません。

これについては、もうしばらく様子を見てから改めて考えてみたいと思います。

本当に後悔を避けられるのか


最後に、インデックスファンドを保有することで、サテライト投資の結果が思わしくなかったときに後悔するのを本当に避けられるのか、という疑問も挙げられます。

要するに、うまく行かなかったという事実は変わらないのだからどっちみち後悔するのではないか、ということです。

私自身は、これは人それぞれとしか言えないように思います。

私の場合は、多少目論見が外れたとしても、全ての投資が最悪の結果になるよりは、ちょっとでもうまく行っているところに目を向けたいという気持ちが強いので、インデックスファンドの保有により十分に後悔を抑えられていますが、もしかしたらそうでない方もいらっしゃるのかもしれません。

しかし、逆に、そうでないという方も、サテライト投資がうまくいってもいかなくても、インデックス投資を行うことで市場平均は確保できる、個別株式がどんどん上がっているならインデックスも上がる、という考え方をすることで、おおらかな気持ちで投資をすることができるような気もします。

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よろしければ以下の記事もご覧ください。

インデックス投資を行うことで、個別株投資にもポジティブな影響がある可能性について書いています。

個別株投資のためのインデックス投資(サボテンのように資産を育てるブログ)

インデックス投資を続けるためのスパイスとして個別株投資を捉える考え方について書いています。

インデックス投資を続けるための個別株投資(サボテンのように資産を育てるブログ)

個別株投資のためのインデックス投資

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はじめに


最近スパムコメントが良く入るようになったのですが、辛味ネタをたくさん書いていたせいか、ついにタイ語のスパムコメントも入るようになったすいさくです。今度はメキシコからのアクセスがあるよう頑張ります。

さて、以前から書いているように、私はインデックス投資と個別株投資(正確にはほぼ単元未満株投資)を併用しています。

割合で言うと、だいたいインデックスが8割、日本と米国個別株がそれぞれ1割ずつ、コアではインデックスで世界分散投資を行い、サテライトでは単元未満株や高配当株式などに投資をして超過リターンを目指すという良くある戦略です。

以下の記事にも書いたように、この方法のもう一つのメリットは、いろいろな銘柄を保有することで所有欲が満たされる一方で、それなりの値動きがあるため飽きにくく、結果的にインデックス投資を続けるのにも役立つことだと思っています。

インデックス投資を続けるための個別株投資(サボテンのように資産を育てるブログ)

インデックス投資は個別株投資のためにもなる?


一方、最近は、逆のことを思うようになってきました。

つまり、インデックス投資を行うことで、無謀な個別株投資、たとえば高値での買い付け、いわゆるジャンピングキャッチをしなくなるのではないかということです。

MSCIコクサイの場合


たとえば、いわゆるFAAMG(フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル)は私も気にならないわけではありません。

個別株でこっそりアマゾンを買っちゃおうか、とかQQQ(ナスダック100のETF)なら分散されているのではないか、マイクロソフト買っておけばよかった、とか率直に言っていろいろな思いが頭をよぎりますが(笑)、以前も下の記事で書いたように、FAAMGはMSCIコクサイの組入比率トップ10、合計で約8%も占めているので、これらの企業の業績が上向き、株価が上昇すれば黙っていても(個別株ほどではなくても)私の資産は増えていきます。

MSCIコクサイはすっごく分散された「ビッグ5」(サボテンのように資産を育てるブログ)

そんなこともあって、最近はそこまでFAAMGのことは気になりません(アマゾンは今でも未練はありますが…)。

S&P500配当貴族指数の場合


また、米国高配当銘柄、つまりいわゆるシーゲル銘柄の中には欲しいと思いながら株価が上がり過ぎて買いそびれたものもあります。

P&Gは代表格ですが、ほかにもペプシコ、ウォルマートなど、一度は興味を持ったもののタイミングを逸してしまったものもあります。

しかし、これらは全てS&P500配当貴族指数に含まれているので、この指数に連動するSMT米国配当貴族インデックスオープンを保有する限り、これらを焦って買う必要はありません。

JPX日経中小型株指数の場合


最近、ソースネクスト(4344)の株価が下がっていることを知りました。

昨年のWindows 10の駆け込み需要にともなう特需がなくなり、前期に比べて大きく業績が落ちたからのようですが、多言語学習ソフトとしてのブランドを確立しているロゼッタストーンの日本法人や筆まめの販売元などを買収したため、今後の業績は期待できそうに感じました。

良く考えてから買うかどうか決めようと思い、ここ数日様子を見ていたのですが、あれよあれよという間に10%以上株価が上がってしまいました。

タッチの差で投資機会を逃してしまった形になりましたが、私はあまり悲観していません。

この銘柄が組み入れられているSMT JPX日経中小型株インデックス・オープンを保有しているからです。

ソースネクストの株価が上がり続けるならば、このまま待つだけでいいわけですし、調整があるなら、そのときに買えばいいのです。

要するに


インデックス投資か個別株投資のベテランであれば、私のような迷いはないかもしれません。

投資方法にかかわらず、もともと決めているルールに従って淡々と売買をすることに抵抗も焦りもないと思うからです。

しかし、私のような迷いが多い人間にとっては、インデックスと個別株は絶妙な組み合わせです。

普段はインデックスファンドを淡々と積み立てることに集中し、本当にチャンスがあると思うときに限って個別株を買うことで、焦って判断ミスをする可能性を減らせると思うからです。

(まあ、スポット投資にメリットがあると思うくらいの調整・暴落ならインデックスファンドを買いつけるだけでも十分なような気もしますが)

また、この意味では、TOPIXやMSCIコクサイなどの時価総額インデックスだけでなく、S&P500配当貴族指数やJPX日経中小型株指数などのスマートベータにも存在価値がありそうです。

特定の銘柄にちょっと厚めに投資していると思うと、その銘柄を焦って買う気持ちも抑えられますし、個別株を少額買う場合より、その銘柄が組み入れられているインデックスファンドを買う方が(手数料が安いという意味でも)手軽です。

そんなわけで、インデックスを基本にし、スポットで個別株式を買い付けるという方法は、私にはとても合っているようです。

しばらくはこのスタイルで続けていきたいと思います。

<追記>
昨晩アッビーが値上がりして横目で羨ましそうに見ていましたが、これもS&P500配当貴族指数に含まれていたことに気づいて少し落ち着きました(笑)

20年後の景色は今と全然違うはず

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はじめに

投資に興味がない人にどうやって興味を持ってもらえるか、投資人口をどうやって増やすか、という話をあちこちで良く見ますが、実は私は楽観的です。

その理由をブログに書こうと思っていたら、先日カン・チュンドさんにほとんど書かれてしまっていることに気づきました(笑)。

「パソコンおたく」と「一攫千金投資家」(カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!

要するに、「普通」の人がパソコンを使って通信をするのが当たり前になったのはWindows 95が出たせいぜい20年前であり、そのときは、こんなに日常的にインターネットを使うようになるとはほとんどの人が想像していなかっただろう、ということです。

つまり、投資に関する20年後の景色は今と全く違っている可能性もある、と言いたいのだと思います。

ここで終わりにするのも悔しいので(笑)、今回はもう少し自分の経験について書いてみます。

似たようなことはたくさんある

実は、私は似たような経験をしたことがあります。

私が大学生だった約20数年前、友人が立ち上げた環境サークルの集まりを覗いたことがありましたが、「現在(その当時)のような消費社会には限界があるから、これからは環境意識を高めることが必要だ」というようなことを言っている人がいました。

似たような話は1970年代くらいからさんざん言われていますし、空気を読めない私は、「そうは言ってもみんな自分の身が可愛いから、実際はわざわざコストをかけてまで環境に優しい行動なんてとるわけないだろう」というような意見を言い、なんとなく冷やかな眼差しを受けてしまったのですが、私の意見に同意してくださる方も少なくないのではないかと思います。

しかし、ここで言っている「環境に優しい行動」は、

燃えるゴミ・燃えないゴミなどの分別

シャンプーなどの詰め替え用商品の一般化

程度の話、つまり、今ではとっくの昔に「当たり前」のことになっていることだったのです。

これらは、その当時は全く「当たり前」ではありませんでしたし、ゴミの分別なんてやっているのは「意識の高い」消費者運動をやっている一部のマニアだったはずですが、少なくとも今は違反ゴミを出したら収集されないでしょうし、大半の人はゴミの分別くらい環境のことすら意識せず「普通に」やっています。

シャンプーや洗剤の詰め替えだって、20数年前は「こういう商品は清潔感が命だから(詰め替えは不潔に感じられるから)絶対に売れない」なんて言われて、普通の店では絶対売っていなかったのに、「失われた20年」で節約志向が高まったことで、みんな普通に利用するようになりましたよね。

つまり、「当たり前」の基準なんていつの間にか変わってしまう程度のことだと思うのです。

とはいっても、いくつかの条件があるのでは

しかし、このような「当たり前」の変化にはいくつかの条件があるように思います。

まず、「当たり前」を支えるシステムです。

ゴミの分別の場合、どこに行っても燃えるゴミと燃えない(燃やさない)ゴミのゴミ箱が分かれていますし、ゴミの収集も分別済みのものだけに対して行われます。

むしろ、分別用のゴミ箱がない方が落ち着きません。

別な言い方をすると、ゴミの分別をしようと思ったらそれがスムーズにでき、そうでないとかえって不便を感じるような仕組みがすでに実現しているのです。

また、日本では、ほかの人の目も気になるのではないでしょうか。

昔は、詰め替え式のシャンプーを使っているなら、環境意識(笑)が高い、ケチケチしている、不潔、と好奇の目で見られていたような気がしますが、今はどこでも普通に扱っているし、みんな普通に使っているので、詰め替え式シャンプーを使わない人の方がむしろ贅沢というか変わり者という風に見られるのではないでしょうか。

要するに、横並びの意識が強ければ強いほど、まわりにやっている人がどれだけいるかどうかが重要で、逆に、臨界点をほんのちょっと超えただけで普及が一気に進む可能性もあります。

投資の場合はどうか

投資の場合はどうかというと、今はかなり急激にこれらの条件が整い始めているタイミングではないかと私は思います。

私はまともに投資を勉強し始めたのが2013年~2015年ごろでしたが、この時と比べても現在は各段に投資環境が整ってきたと思います(なんせ、その頃でも信託報酬率が1%を切っていたら低コストファンドなんて言っていましたし、半年前のインデックス投資の本の記載が古くなることが普通になってきているわけですから)。

もちろん、つみたてNISAの導入も大きなイベントとなるでしょうが、その前後のインデックスファンドの低コスト化、金融庁も無視できなくなってきた個人投資家やブロガーとの対話、個人投資家のブログや書籍での情報発信なども、現在は小さい一歩だったとしても、今後大きな変化をもたらすきっかけに十分になり得ると思います。

リーマンショック級の暴落が来たらどうするか、という声もありますが、先輩ブロガー各位の努力でインターネット上に膨大な記録が残されており、こういう情報がなかった前回とは大きく違います。

これで、システムはかなり整ってきたので、あとは、2番目の「ほかの人の目」が変われば一気に投資が普及すると思います。

こればかりは急には変わらないかもしれませんが、上にも書いたように、臨界点を超えた瞬間にみんなが口々に「あれ、投資していないの?将来のこと真剣に考えているの?」と手のひらを返したように言い始めることも私は十分にあり得ると思っています(一般向け雑誌の少額投資の記事が増えてきたこともその兆候ではないでしょうか)。

私は新製品が次々と出て市場が大きく変わる様子をウォッチするのが好きなのですが(以前はカシオQV-10から100~200万画素あたりのデジカメ市場をウォッチしていました)、今のインデックス投資界隈はそれに似たスピード感やワクワクする雰囲気がありますし、20代~30代で最初に出会う金融商品がこのようなものであれば、経験が蓄積される20年にはそれが「当たり前」になっても不思議はないでしょう。

そもそも、20年前はフィルムカメラが「当たり前」でデジタルカメラはマニアのもの、そして、「どうやったらデジタルカメラを一般の人に普及させるか」なんてことが掲示板で大真面目に語られていたりもしました。

今は、デジタルカメラ(というよりスマートフォン)が「当たり前」でフィルムカメラを使っている方がマニアですよね。投資も似ていると思います。

残された課題

さて、それでは、投資普及の将来はバラ色なのでしょうか。

私が気がかりなのは、投資において経験がフィードバックされる期間は長いことです。

特に、長期投資を行う場合は、20年ほど経ってやっと効果が目に見えるということも珍しくありませんから、成功体験を積むにもかなりの年月が必要になります。

知人やインターネット上の情報を参考にして情報が伝達される可能性もありますが、現実的には家族など近しい人から投資を学ぶことが多いでしょうから、結果が出るのに20年経つなら、次の人が始めるのはやっと20年後、さらにその結果が伝わるのは40年後、と気が遠くなるような時間がかかります(そして、一度失敗してしまうと、また次の20年に期待するしかなくなってしまうかもしれません)。

これはすぐに結果が体感できるほかの商品とは違うような気がします。

したがって、社会全体で投資の普及を望むなら、世代を超えたかなりの長期間で取り組む必要があり、結果が出ないからすぐに政策を転換するようなやり方ではせっかくの芽をつぶしてしまうことになってしまうかもしれません。

そもそも投資をする必要があるのか

また、そもそも投資に興味を持ってもらう必要があるのか、ということも個人的には気にかかっています。

資産管理のことを知れば知るほど、私は、普段の支出の適切なコントロール(必要なものにはきちんと支出することも含めて)がまず重要で、投資は二次的なもので、投資の額や、そもそも投資するかどうかは本来は個人がそれぞれ判断すれば良いことだという考えが強くなってきました。

私が、投資人口が増えてほしいと思う理由は、

・人生で重要な割合を占める「資産」について話すことが自然なことになってほしい
・投資人口が増えることで投資への理解が深まり、投資家に対して税制などの再分配政策が極端に不利になってほしくない

というようなものですが、それさえ守られていれば、私個人には不利益はなく、率直に言うと、投資するかどうかは個人が決めればいいことだと思います。

私は、自分の意思で投資を始め、この行為を楽しいと感じていますし、これからどうなるか分からないにしても、(個別の投資判断はともかく)この選択自体を後悔することはないだろうと思います。

そういう意味では、とても楽しいこの行為をほかの方に勧めたい気持ちもあります。

しかし、おそらく年金も減額され、これまで以上に自助が重視される流れになっていることを十分に認識していても、なお、支出をコントロールする意思もなく、リスクも一切取りたくない、という人に無理やり投資を勧めるべきなのかどうかというと、違和感も覚えます。

今回のエントリーをこういう形でまとめるのも何なのですが、やはり、投資は自立、投資は自己判断なのではないか、と改めて思う次第です。

つみたてNISAと現行NISAで棲み分けさせるんじゃない?

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つみたてNISAの導入を目の前にして、ものすごい勢いでインデックスファンドの現行商品の信託報酬引き下げが進められています。

えーっと、りそなのSmart-iの新規設定に加え、大和のiFree、AM Oneのたわらが値下げ、ですか…?

もはや私は全てはフォローできていません(笑)。

このあたりの背景に関しては、菟道りんたろうさんが、以下の記事で、つみたてNISAの対象ファンドになるためには運用会社が金融庁に届け出てて認められなければいけないという仕組み自体が運用会社や販売会社の価格競争を促す効果があることを論じています。

「iFree」と「たわらノーロード」が信託報酬を引き下げへ―「つみたてNISA」には“孔明の罠”が仕掛けられていた(The Arts and Investment Studies)

この記事はなるほどと思って読ませていただいていたのですが、そこでふと思ったのは「これは暗につみたてNISAと現行NISAでの棲み分けを促しているのでは」ということです。

私は以前下の記事で、初心者向けの商品選択に制限をかけることは仕方がないものの、自動車免許の初心者マークが外れるように、ある程度投資期間が長くなったらもう少し商品選択の制限をゆるめてもいいんじゃないかと考えたことがあります。

「iDeCoで運用商品数制限」はやむを得ない。しかし…(サボテンのように資産を育てるブログ)

これはiDeCoでの話でしたが、同様の論点は、つみたてNISAと現行NISAの関係にも該当するかもしれません。

つまり、

(1)つみたてNISAはかなり商品選択の制限をきつくすることで、これから投資を始める人が合理的(低コスト)・長期的に投資できるようにし、運用会社や販売会社への(立ち入り検査なども含めた)監視を強めることでこれを担保しようとする一方、

(2)現行NISAはどちらかというと玄人向けに、かなり商品選択を自由にして自発的な商品選択を促すという制度として併存させる

ことを考えているような気がするのです。

これが正しいとすると、

・ある程度知識のある人なら現行NISAの欠点も良く分かっているはずだから、5年あるいは10年という非課税期間もやむを得ない(逆を言うと、これ以上現行NISAの非課税期間が延びるのは望み薄)
・逆に、つみたてNISAは徹底して商品制限をする(それが嫌な人は現行NISAを使ってもらう)
・シンプルにインデックスで運用を行いたい人は(初心者でなくても)つみたてNISAに移行することが合理的

ということになりそうです。

これはたまたまそう見えるだけかもしれませんし、既存のNISAをいじれないことから来た苦肉の策、あるいは瓢箪から駒かもしれませんが、こういう目で見てみると、現行NISAがあるのにわざわざつみたてNISAを作るなんてナンセンスだ、という当初の議論(私も思っていました)は必ずしも当たらないのではないかという気がしてきました。

もし、これが意図して行われたことなのなのであれば、菟道りんたろうさんがおっしゃる通り金融庁恐るべし、です。

いつか金融庁のミーティングに出て、こういう質問をぶつけてみたいものです。

三歩下がって市場の影を踏まず

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海外ETF投資家のフクリさんが以下のような記事を書かれています。

投資で失敗をしないために、影を追わない。(フクリの海外ETF長期投資)

ワールドカップ予選におけるオーストラリアのサポーターの挑発文『NIPPON : FOREVER IN OUR SHADOW (日本は永遠に我々の影)』(オーストラリアもロングボール主体では本選で勝てないとつなぐサッカーに切り替えているので、個人的にはどっちもどっちかなと思っていますが)や『投資の鉄人』の文などを引いて、以下のようにまとめていらっしゃいます。

株価は影のようなものであり、投資家の欲望と恐怖が原因で価格が上下すると書かれています。短期の株価で一喜一憂してはいけないですし、値動きに魅了されてはいけません。

私もインデックス投資を始めた頃は、株価の影を追い回していました。毎日のように一喜一憂していた気がします。数百円の変動でも、それはそれは気になったものです。今では、数万円、数十万円の変動があっても、気になりません。たぶん、株価の変動に慣れ、感覚がマヒしているのだと思います。

最近の少しの円高・株安で、『チャンス!チャンス!スポット投資の絶好の機会だ!』などという動きをする投資家を見ると、もう少しどっしり構えた方がいいのにと思っています。このような行動をしてしまう投資家は、投資をいつか続けられなくなってしまうのではと心配してしまいます。(フクリの海外ETF長期投資)


私も思い当たるふしがないわけではないので、耳が痛いです。

今回くらいの株安ではインデックスファンドの追加投資を行う気は全く起きませんでした(トランプラリーの直前と比べればまだまだ株価は高いですし)が、サテライトの個別株投資では先月もスポット投資を行ったことは確かで、インデックスファンド積立投資の考え方から言えば邪道なのかもしれません。

ただ、私の場合、まともに投資を始めたのが2015年8月のチャイナショック直後、そして大きな調整を経験していないということで、(これまでも何度か書いていますが)まだ市場との距離を計りかねているところはあります。

今は、インデックス投資を8割程度と中心に据えることは全く変わらないものの、サテライトで日本の内需あるいは海外展開に強みを持つ中小型の個別株式に1割、米国の高配当大型株に1割、という形で投資をするのが自分に合っているという考え方に寄ってきていますが、それが正しいかどうかは実際に試してみないことには分かりません。

これから必ず来ると思われる大きな調整の局面において、自分が相当なストレスを感じるであろうことは間違いありませんが、自分がそれでめげるような人間ならそもそも投資なんて向いていないだろうと思っています。

それで投資を止めてしまうのであれば、ほかの誰でもなく、私自身の責任です。

その前提では、最低限市場に残れるように気を使いながら、痛い目に遭ってから立ち直る経験も今の自分には必要なのではないかという気がします(自分の性格を考えると、多少は痛い目に遭わないかぎり、もっと大きい失敗をしてしまうような気がします。もちろん、同じことをほかの人に勧めるつもりはありません)。

個別株式投資を行って良かったと思うことの一つとして、「市場は正しいが、ときに間違っている」と感じたことが挙げられます。

確かに、市場で付けられている株価は、いろいろな予想を反映したかなり正確なものであることは間違いありませんが、ときに短期的な要因で株価が変動し、本質的な価値から大きく外れることは決してないわけではないように感じるのです(いわゆるミスターマーケットの話ですね)。

自分がそのようなタイミングをつかめると言うつもりはありません。

しかし、たとえ市場全体が低迷しているときでも、それは、必ずしも市場が正しいからではなく、本質的な価値とかけ離れたところで価格がついているからだと思うだけで、少し安心します。

言わば、市場とつかず離れず、三歩下がって市場の影を踏まず、です。

これからもこんな距離感で市場と付き合っていくつもりです。